近年、食の安全や食育への意識の高まりから家庭菜園の人気が高まっている。しかし、家庭菜園を始めた多く人間が野菜の育成を継続できずにやめてしまっている。この課題を解決するプロジェクトとして「パーソナルアグリカルチャープロジェクト」を発足した。本プロジェクトでは、家庭菜園ユーザに対して家庭菜園を継続することを目的とした、定点観測デバイスと、家庭菜園の情報に特化したSNSからなる 「growviewシステム」を提案した。定点観測デバイスは、野菜の育成情報をカメラや様々なセンサから取得し、データベースに送る機能があり、SNSではそのデータを利用して家庭菜園ユーザがコミュニケーションを取ることができる場をインターネット上に構築する機能を有している。
本研究では、提案のシステムにおける新しい野菜の定点観測デバイスとして、スマートフォン向けアプリケーションの提案、設計を行った。このアプリケーションは、当初試作した、据え置き型の定点観測デバイスから得た課題を解決し、ユーザがより気軽に野菜の撮影ができるアプリケーションを目的として設計し、実装されたものである。本アプリケーションは、ユーザが育成している野菜の動きや成長を微速度撮影し、その画像を動画に変換しサーバに送る機能を持っている。このアプリケーションを使用することによって、ユーザは家庭菜園の育成状態を記録した動画を自身のSNSにアップロードすることができる。この動画は自身の家庭菜園の育成記録となるだけではなく、他ユーザとのコミュニケーションを促進する作用を持つと期待した。その有用性を確かめるために、本アプリケーションを用い、口頭でのアンケート調査によるユーザテストを行い、使用感や機能性を評価した。
ユーザテストの結果、本アプリケーションの使用感、機能性において一定の有効性を確認することができた。

修士学位論文. 2011年度メディアデザイン学 第163号