慶應義塾大学学術情報リポジトリ(KOARA)KeiO Associated Repository of Academic resources

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AN10065043-20000531-0029  
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Release Date
 
Title
Title 道具的実践理性  
Kana ドウグテキ ジッセン リセイ  
Romanization Doguteki jissen risei  
Other Title
Title Instrumental practical reason  
Kana  
Romanization  
Creator
Name 成田, 和信  
Kana ナリタ, カズノブ  
Romanization Narita, Kazunobu  
Affiliation  
Affiliation (Translated)  
Role  
Link  
Edition
 
Place
横浜  
Publisher
Name 慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会  
Kana ケイオウ ギジュク ダイガク ヒヨシ キヨウ カンコウ イインカイ  
Romanization Keio gijuku daigaku hiyoshi kiyo kanko iinkai  
Date
Issued (from:yyyy) 2000  
Issued (to:yyyy)  
Created (yyyy-mm-dd)  
Updated (yyyy-mm-dd)  
Captured (yyyy-mm-dd)  
Physical description
 
Source Title
Name 慶應義塾大学日吉紀要. 人文科学  
Name (Translated)  
Volume  
Issue 15  
Year 2000  
Month 5  
Start page 29  
End page 53  
ISSN
 
ISBN
 
DOI
URI
JaLCDOI
NII Article ID
 
Ichushi ID
 
Other ID
401502  
Doctoral dissertation
Dissertation Number  
Date of granted  
Degree name  
Degree grantor  
Abstract
我々が思慮deliberationに基づいて一定の信念beliefを獲得できるのは,理性の働きによると思われる。たとえば,「pならばq」という信念と「p」という信念を持っている時に,論理に従って考えれば,たいてい我々は「q」という信念を獲得できる。これは,我々の理性の働きによるのであろう。このような働きをする理性を「理論理性theoreticalreason」と呼ぼう。これと同じように,我々が思慮に基づいて一定の行為へと動機付けられる時に,その動機付けmotivationを生み出す働きをする理性があるとすれば,それを私は「実践理性practical reason」と呼ぶ。(1)たとえば,ある事柄Eを目的として定め,行為Aを行えばEが達成できることが分かった時に,たいてい我々はAを行おうと思うものであるが,こう思うことが(少なくとも部分的には)理性の働きによるとすれば,この理性は実践理性である。(2)本稿の目的は,最近の英語圏で展開されている議論を参考にしながら,実践理性とは何かを,目的の手段となる行為への動機付けの場合に限って,詳しく描くことにある。 私はいま「目的の手段となる行為への動機付けの場合に限って」と書いたが,「目的の手段となる行為への動機付け」を(英語圏の実践理性をめぐる議論の慣習に倣って)「道具的動機付けinstrumental motivation」と呼び,また,そのような動機付けにおいて働く実践理性を「道具的実践理性instrumental practical reason」と呼ぼう。本稿の目的は,実践理性とは何かを,道具的動機付けの場合に限って描くこと,つまり,道具的実践理性とは何かを描くことにある。 さて,本論に入る前に,実践理性をあぐる問題との関連で,いま述べた本稿の目的について補足しておきたいことがある。実践理性をめぐっては二っの大きな問題がある。第一の問題は,実践理性が果たして存在するかという問題である。たとえば,ヒュームは実践理性の存在を否定しているという解釈が成り立つ。(3)したがって,実践理性の存在を肯定するには,少なくともこのようなヒ3 ム解釈に基づく実践理性否定論を論駁することが必要となる。しかし,ここではこの問題には取り組まずに,実践理性が存在することを前提した上で,それがどのようなものなのかを明確にすることを目指す。その後に,稿を改めて,そのような実践理性が存在するかどうかを論じたいと思う。その意味で,本稿は実践理性の存在の問題に対する取り組みの準備作業の一つである。 第二の問題は,実践理性が働くためには(それが働く以前に行為者があらかじめ持っている)欲求が必要であるかという問題である。(4)トーマス・ネイゲル,クリスティン・コースガード,ジーン・ハンプトンなどのカント主義者は,必ずしも必要でないという立場を取る。(5)これに対して,アルフレッド・ミールなどの「合理的ヒューム主義者」と呼べるような論者は,必要であるという立場を取る。(6)本稿では,この問題に関しても特定の立場を取らずに議論を進あたい。この問題へのアプローチのためにも実践理性をできるだけ明確に規定することが必要であり,その意味でここでの作業は,この問題への取り組みの準備作業ともなる。 繰り返しになるが,本稿の目的は,実践理性(正確に言えば,私が「実践理性」と呼ぶもの)とはどのようなものなのかを,道具的動機付けの場合に限って,明らかにすることにある。さて,冒頭に述べたように,実践理性は,人が思慮に基づいて一定の行為へと動機付けられる時に,その動機付けを生み出す働きをする。(7)したがって,実践理性とは何かを詳しく示すためには,「思慮に基づいて」ということと「動機付けを生み出す働き」ということを明確にすることが重要となる。そこで,まず第1節と第2節では,「思慮に基づいて」の「思慮」の部分に焦点を当てる。第1節では,実践理性が働く際になされる思慮とはどのようなものなのかを説明する。第2節では,話を道具的動機付けの場合に絞って,そこでなされる思慮の特徴を細かく見る。次に第3節で,実践理性の「動機付けを生み出す働き」という点に焦点を当て,その働きを明確にする。最後に第4節では,「思慮に基づいて」の「基づいて」という部分に焦点を当て,その意味を明らかにすることによって,実践理性の輪郭をさらに鮮明する。
 
Table of contents

 
Keyword
 
NDC
 
Note

 
Language
 
Type of resource
jpn  
Genre
Departmental Bulletin Paper  
Text version
publisher  
Related DOI
Access conditions

 
Last modified date
May 05, 2024 23:47:26  
Creation date
Apr 27, 2007 13:32:54  
Registerd by
mediacenter
 
History
 
Index
/ Public / The Hiyoshi Review / The Hiyoshi review of the humanities / 15 (2000)
 
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