本稿は日本橋の村松町(現東日本橋1丁目)と久松町の商業史的研究の覚書である。すでにこれまでも筆者は著書や本誌所載論文で,様々な町を同様の現点で記してきたが,ここでは,この2つの町が,江戸時代に起立したといわれるものの,必ずしも,その時期,起立の仕方が明らかでないという疑問を提起し,同じように明治になって,近くの武家屋敷を町に組みこんでゆきながら,大きく町の様相を異にしていったゆえんを探る。これまであまり指摘されなかった武家屋敷に住む幕臣の違いという歴史にも注目し,更に明治における街並みをみて,村松町が「内
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