本研究は, 限一頭位の協応をともなう全身反応時間を指標として用い, オープン・スキル系スポーツのトレーニング効果のメカニズムを明らかにしようとしたものである。
成人男子大学生の5つの運動種目群(水泳, パレーボーノレ, 水球, サッカー, 陸上競技短距離〉と非運動群, および5歳から12歳までの幼児・児童の各年齢群を横断的な比較検討の対象とした。また, 継続的にサッカーを行っている11人の児童を6歳から5年間, 縦断的に追跡調査した。被験者は, 左右および上下を示す矢印に従いジャンプ或いはしゃがみ込むという反応動作を行うものである。
横断的検討により得られた結果は以下のとおりである。
1) 成人において水泳を除く4つの運動種目群の中枢での決断含む反応時間(LatentTime)は, 非運動群より短かった。
2) 幼児・児童の反応時間(LatentTime)は, 加齢とともに著しく短縮する傾向を示した。
そして, 縦断的検討により得られた結果は, 以下のとおりである。
1) 各被験者の反応時間(LatentTime) の発達には個人差があるが, サッカーを継続的に行った影響が8歳以降顕著に認められる。
2) 幼児・児童の発達的変化のなかでも興味深いのは反応時間の顕著な短縮の後には必ず、遅延, 或いは停滞の現象が認められることである。
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