【目的】学校図書館が整備されている小学校においても, 学校図書館を授業で活用する頻度の高い教員(活用度の高い教員)と活用する頻度の低い教員(活用度の低い教員)が存在する。本研究では, 活用度の高い教員と低い教員の意識と利用の実態を詳細に調べ, 活用度に影響を与えている要因を明らかにし, 学校図書館からの教員サポート機能には何が必要かを考察することを目的とする。
【方法】学校図書館が整備され, かつ, 活発に利用されている小学校8校の全教員160名を対象に2つの調査を実施した。まず, 学校図書館を活用しようとする意識と利用の実態を探る質問紙調査を実施し, 年間活用授業時間数を基に回答者を学校図書館の活用度の高い教員と低い教員に分類し, 比較分析を行った。次に, 質問紙調査の結果を踏まえ, 同8校の16名の教員に面接調査を実施し, インタビュー結果を教員の実態, 児童の実態, 学校の実態に整理し, 分析を行った。
【結果】質問紙調査の結果の分析から, 両教員間で学校図書館を活用しようとする意識と利用の実態に関する12項目に有意差のあることが明らかになった。面接調査の結果, 質問紙調査で両教員間に有意差のあった項目と合致した7項目以外に新たに12項目の要因が明らかになった。これらの結果を分析・考察し, 学校図書館の教員サポート機能が発揮されるための主要な5つの要因として, 1)学校図書館の意義・必要についての理解, 2)教科(国語・社会・総合・生活科・理科)における学校図書館の利用, 3)学校図書館利用の実践例の活用, 4)読み聞かせ・ブックトーク等を用いた指導の工夫, 5)年間授業計画への学校図書館利用の記載, が明らかになった。
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