【目的】本稿の目的は, 図書館および関連分野における, 民間団体による認定資格制度の設立の要件を明らかにし, その結果をもとに, 専門図書館協議会(専図協)の構想した検定試験による認定資格制度が実現に至らなかった理由と問題点を考察することである。
【方法】次の三つの方法を用いる。第一に, 文献をもとに認定資格制度の設立の要件を明らかにする。第二に, これまでに成立した二つの制度について, 文献調査を行い, それをもとに, 設立の要件を満たしているかどうかを検討する。第三に, 専図協の構想した認定資格制度について, 文献調査と当時の検討委員会の委員に対する聞き取り調査を行い, それをもとに, 設立の要件を満たしているかどうかを検討する。
【結果】次の3点が明らかになった。(1)認定資格制度の設立の要件としては, 四つの観点に基づく次の9点が考えられる。①職業能力, ②マーケット, ③認定機関(財政力, 法人組織, 大学教員との協力体制, 事務局体制), ④専門的教育体制(研修事業, 学習領域の設定と知識の集成, 研究活動の場の提供)である。(2)これまでに成立した二つの制度は, ほぼこれらの要件を満たしており, したがって9点の要件は制度の設立の要件として適切であると考えられる。(3)この要件に照らすと, 専図協の構想した認定資格制度は, すべての要件を満たしていない。これらの結果から, 専図協は, 認定資格制度の設立に向けて, 次の戦略を取ることが考えられる。業務内容の明確化と普及など, 認定資格制度の基盤整備を進めること, および制度を段階的に整備することである。
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