【目的】本稿の目的は, 学習情報センターとして機能する中学校図書館における図書館担当者の職務構成のあり方を実証的に明らかにすることである。
【方法】2008年1月に学習情報センター化の進展した全国11市の中学校234校の図書館担当教師(図書館主任・司書教諭)と学校司書の職務の実施状況と必要性に対する認識を明らかにするために, 郵送による質問紙調査(各校2通送付)を行った。その回答校数は145校(62%), 回答者数227人(49%)であった。回答結果の分析では, 60職務に関する5 件法の回答データを間隔尺度と見なし, 偏差値による比較分析, クラスター分析, 因子分析を行った。また, 考察では2007年実施の小学校調査の結果と本調査結果を比較分析した。
【結果】回答結果の分析から, 重要な点として次の3点が指摘できた。
(1)図書館担当者の職務は, 「実施状況」と「必要性」に対する認識から, 中心的業務, 基本的業務, 選択的業務, 周辺的業務に4分類できたこと
(2)学習情報センター化の進んだ学校図書館においても, 図書館担当者の学習情報センター機能を活用する先進的職務に対する認識が低いこと
(3)小学校と中学校の図書館担当者の職務構成は, 同様に中心的業務, 基本的業務, 選択的業務, 周辺的業務に4分類できるが, 各階層を構成する職務には違いが見られること
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